オゾン療法(血液クレンジング療法 など)について
- オゾン療法とはどういうものでしょうか?
- 自家血オゾン療法
- オゾン療法の効果
- オゾン療法におけるオゾンの投与方
- オゾン療法の歴史
- オゾン濃度や人体における有毒作用について
- 併用療法や副作用・禁忌
- オゾン(血液クレンジング)療法の費用について
オゾン療法とはどういうものでしょうか?
それは、ヨーロッパで主に行われているオゾンガスを用いた様々な治療法の総称です。大量自家血オゾン療法では、100~200ccの血液を脱血し、そこにオゾンガスを混合、オゾン化した血液を体の中に戻すという治療法です。
英国のエリザベス女王の母クィーンマムは、週に2回オゾン療法を受け、大きな病気をすることも無く、長生きしたのでイギリスでもオゾン療法が注目され、新聞記事にもなりました。
自家血オゾン療法
自家血オゾン療法には、少量自家血(浄化)療法(Minor Autohemotherapy)と、大量自家血(浄化)療法(Major Autohemotherapy)=MAHがあり、日本では、大量自家血療法のことを血液クレンジング療法とも呼んでいます。
大量自家血療法は100~200ccの血液を専用瓶に採血し、そこにオゾンガスを混合し、オゾン化した血液を体の中に戻すという治療法です。少量自家血療法は3~5ccの血液をオゾン化して、筋肉注射で体の各所に打つという治療法です。
オゾン療法の効果
オゾン療法はどのような疾患に効果があるのでしょうか?
ヨーロッパなどでは、B型C型の肝炎や、HIVのウイルスの増殖を抑えるために用いられています。虚血性疾患に対しては、保険適用にもなっています。狭心症や心筋梗塞など、虚血性心疾患の後にオゾン療法が治療として行われています。他にも、老人性網膜変性疾患、アトピー性皮膚炎などアレルギー・自己免疫疾患にも用いられます。(投与量により免疫調整作用)、また、免疫力を上げる作用に優れ、がんの補完療法として外科手術後に使用されています。
がんの補完医療では、週2回、5週間を1クールとして、年1・2回繰り返すという形です。また、歯科領域でも使用されていますが、これはオゾンガスの直接的な殺菌作用が主で、上記のような医科でのオゾン療法とは作用機序が少し異なります。
オゾン療法適用疾患
- がん、悪性リンパ腫
- 自己免疫疾患(慢性関節リウマチ、多発性硬化症、クローン病、アトピー性皮膚炎、エリテマトーデス)
- 線維筋痛症
- ウィルス性疾患(B型,C型肝炎、HIV、パピローマウィルス、帯状疱疹)
- 慢性腎不全
- 慢性疲労症候群
- 脳神経退行性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、痴呆)
- 呼吸器疾患(肺気腫、COPD )
- 真菌感染症
- 眼科疾患(白内障、緑内障、加齢性黄斑変性症)
- 動脈閉塞性疾患(心筋梗塞、脳梗塞)
- 下肢静脈瘤
- 糖尿病(糖尿病性末梢神経障害、糖尿病性壊疽)
オゾン療法の歴史
オゾンの歴史上のパイオニアには、Christain Friedrich Schonbein(1799-1868)が科学の実験中にオゾンという気体を発見した者として知られています(1840)。この時に、ギリシャ語のOZEIN(臭う)からOZONEと命名されました。
その後、オゾンを使っていた歯科医E.A.Fisch(1899-1966)の患者だった外科医のErwin Payrが、外科にもオゾンを使えないか?ということで始まったのが、医科でのオゾン療法の始まりです。また、Joachim Hansler(1908-1981)は初めて医療用オゾンの発生器(ジェネレーター)を造った人物として知られています。
日本でもオゾン療法は戦前から歯科治療で用いられていました。日大の先生たちによって、歯周病や歯槽膿漏に対し盛んに研究も行われていました。歯周病には良い成績だったことが報告されています。しかし、戦後、オゾンがオキシダントであり、有害だという風説が流れてからは完全に途絶えてしまいました。
ヨーロッパではオゾンの研究は脈々と続いており、最も盛んなのはイタリアやドイツで1万人以上のドクターが、年間100万人以上の患者に施術を行っています。最近の近代オゾン療法の草分けと呼ばれるボッチ教授はイタリア人ですが、実際に治療を行っている先生の数ではドイツが主流になります。ドイツ、イタリア、イギリスでは、何十年と治療が行われています。
また、もともとオゾン療法は、抗生物質の無い時代や地域で盛んに研究されてきたので、現在でもキューバやマレーシアなど開発途上国では、オゾン療法だけでクリニックが運営できるほど盛んに行われています。
アメリカはどうでしょうか?日本の医療は基本的にアメリカ追従ですので、アメリカで行われていないものは日本でも発達しないという歴史があります。現在、オゾン療法はアメリカではあまり行われていません。そのため、日本でも行われていないという経緯があります。
なぜ、アメリカでオゾン療法が発展しなくなったのでしょうか?これには、オゾンガスを直接血管に注射するという、誤った治療を行った医師がいたという理由があります。この治療によって、肺塞栓症を起こして死者が出て、FDAはオゾン療法を全面的に禁止しました。当然のことながら、オゾンが悪いわけではなく、間違った使用法のためにオゾンが禁止されてしまったのです。
その後、FDAは2001年から食品を保存するための殺菌剤としてのオゾンを認可し、アメリカのアンチエイジング医学会の一つであるACAMでは、近年オゾン療法を取り上げるようになってきました。現在では11州で、医師の責任において治療が認められています。
オゾンの間違った認識はどこから始まったのでしょうか?それはオゾンが大気汚染の原因で有害だと誤認されたためです。オゾンは、大気汚染の原因、窒素酸化物(NO、NO2、CH4)と紫外線が反応することで生成されますが、窒素酸化物は測定しづらいため、オゾンを測定することで、窒素酸化物の量を推定し、大気汚染の指標としています。
このため、オゾンがあたかも大気汚染の原因なのではないかと、誤認されるようになってしまったのです。
オゾン濃度や人体における有毒作用について
オゾン濃度の単位
オゾンの単位というのは2種類の表記が使われています。良く目にする単位にppmというのがありますが、これは「parts per million volume」の略です。ではどのくらいの量かというと、1ppmv=0.002mcg/ml(μg/ml)です。
オゾンを治療に使う上で、使用量を認識することはとても重要です。
オゾン量の計算
医療用のオゾン発生器は、オゾン濃度を設定できるようになっています。オゾン濃度を設定して、そこからシリンジでどの程度の量のオゾンガスを引くかで、濃度と量を掛け算すると、患者様に投与しているオゾン量になります。
治療域のオゾン量を越えないように適正な量を投与すれば、良い結果が得られます。下記がオゾン量の計算式です。
オゾン量(mcg)or(μg)=ガス量(ml)×オゾン濃度(mcg/ml)or(μg/ml)
血液クレンジングの場合、オゾン濃度は日本だと40μg/mlに設定されており、患者さんから100ml脱血して、オゾンガスの量を100ml使用して、血液クレンジングを行った場合の総オゾン量は40×100=4000μg(4.0mg)となります。治療域として使われるオゾン量としては2000~6000μgが標準的です。
人間におけるオゾンガスの有毒作用
オゾンガスは、どのくらいの濃度で人体に影響が出るのでしょうか?0.1ppmで粘膜や気管支に影響が出てきます。流涙、上部呼吸器・気道での刺激反応がその症状です。人間は皮膚の細部膜は強固なのでオキシデーションの害があまり出ませんが、肺胞上皮や気管支上皮などは、脆弱で抗酸化力が低く、吸い込んでしまうと呼吸器障害を起こします。
5ppmvを超えた濃度のところに60分いると肺水腫を起こし、10.0ppmvだと4時間以内に死亡します。治療用のオゾン濃度は20000ppmvで使いますが、実際にこれを吸い込む場面はありません。
また、万が一にオゾンガスに接触しても、人間は0.01ppmv(0.02mcg/L)で臭いを感じるので、その時点に退避すれば問題はありません。また、オゾンは空気よりも重いので、空中に散布されても、それを吸い込むことはありません。
参考までにWHOの環境中でのオゾンの濃度基準は0.06ppmvです。作業環境の濃度基準は世界的に0.1ppmv程度です。
オゾンは人体に有毒か?
血液クレンジングのオゾンによって、どのくらい人体に有害な影響があるのでしょうか?
人が呼吸によって摂取している酸素の3%が過酸化水素などROS(reactive oxygen species=活性酸素種)になっているといわれており、70kgの体重の人で1日に5gの活性酸素種が発生していますが、人間は日々これを細胞内で消去しています。
血液クレンジングで使う活性酸素量というのは重量で表すと0.02gで、人間が1日に処理している活性酸素種の0.04-0.4%程度にしかなりません。しかも、計算して投与されたオゾンは、抗酸化物質の豊富な血漿中に暴露されるため、速やかに消去系が作動するのです。
ボトルの血液にオゾンを暴露させるとROSを生成する前期反応は10秒くらいで終了します。LOPを生成する後期反応も数分で終了するので、患者様に血液を戻す時には、ボトルの中や血液にはオゾンは残っていません。
血液の中には、反応した物質だけが入っており、それが体の中に入ることでサイトカインの放出などが起こります。体内にオゾンが直接入るわけではないので安全といえます。
併用療法や副作用・禁忌
血液クレンジング+高濃度ビタミンC療法
血液クレンジングと高濃度ビタミンC点滴は相性が良いといわれています。しかし、気をつけなければいけないのは、血漿中にはもともと抗酸化物がたくさんあることです。
血中に大量のビタミンCやEがあるところで血液クレンジングを行うとどうなるのか?ということを検証したデータがあります。ビタミンE=αトコフェロールは血中濃度に変化はありませんが、ビタミンCの活性は著しく低下します。
この結果から注意しなければならないのは、血液クレンジングと高濃度ビタミンC点滴を行う時に、最初にビタミンCを点滴してから血液クレンジングを行うと、お互いに相殺されてしまうので良くないということです。最初に血液クレンジングを行い、次にビタミンC点滴というのが適切な順序です。
基礎代謝が亢進して、コントロールされていない甲状腺機能亢進症や、高濃度ビタミンC点滴と同様にG6PD欠損症も禁忌です。そのため、甲状腺機能亢進症の検査やG6PD欠損症の検査は必須です。また、安全性を考慮して、妊婦に対しては血液クレンジングを行わない方がいいでしょう
血液クレンジングの副作用
オゾンの投与量が過多であった場合、施術後にだるさを感じることがあります。このだるさは特別な処置をしなくても約12~24時間程度で改善されます。
※未承認医薬品等であることの明示
本治療に用いる未承認医療機器は、医薬品医療機器等法上の承認を得ていないものですが、「医師等の個人輸入」により適法な輸入許可を得ています。
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オゾン(血液クレンジング)療法の費用について
オゾンクレンジング 14300円(税込)